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1F 春を寿ぐ  15周年記念企画展

2017年4月4日(火)-4月16日(日)  ※4/10(月)休廊

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〈1F〉 松井 利夫 (陶) × 八幡 はるみ (染色) 

「再燃焼」松井利夫
ギャラリー恵風が2002年4月にオープンした頃、ぼくは穴を掘ったり数字を刻んだり、おおよそ焼き物の本質からはずれた焼き物の渚で手を動かしていた。無数の星の中から目当ての星を見つける時はひとみの周縁で見るようにという先人の教えはいつの時もぼくを新しい世界に導いてくれる。今思えば日々の道具として生まれた焼き物を美術の道具としたことの居心地の悪さを感じながら「自分の表現」から出来るだけ遠くに振り切ろうとしていたことがよく見えて来る。祖先の記憶やふるさとの歴史、表現に値するものごとは無数にあり、それらを掘り起こし焼き直し今日によみがえらせることも焼き物の仕事の一つだと思っている。本展出品予定の「サイネンショー」は家庭で眠っていた不用陶器を回収し再度穴窯で1350℃という高温で焼き上げ熔融、変形、ビードロなど様々な窯変から透けて見える「過去」を蘇らせる試みだ。

’82~ʼ84年イタリア国立ファエンツァ陶芸高等教育研究所にてエトルリアのブッケロの研究を機に沖縄のパナリ焼、西アフリカの土器、縄文期の陶胎漆器の研究と再現、ʼ15年Art&Archaeology Forumを立ち上げ芸術と考古学の領域融合の研究を重ねる。

 

「赤と白」八幡はるみ
昭和の祝日。街のあちこちで見られた国旗。子供だった私は晴れ晴れとした気持ちで眺めていた。平凡な毎日の繰り返しのなかで、特別な日は格段に嬉しかった。華やいだ気分を象徴する形として「日の丸」があった。その後、国旗をめぐる歴史的エピソードを知るにつれて、このアイコンは私から遠くなった。しかし、である。祝い事の水引や幔幕は今でも日の丸と同じ赤と白。赤と白は祝いのシンボルカラーである。人生をぐるっと一巡したこの齢に、日の丸の美しさに気持ちが動いた。もう一度考えてみようと思った。「しろじにあかくひのまるそめてああうつくしや・・・・・・・」と子供の頃に声を上げて歌った気持ちを思い出してみたい。ギャラリーの15周年に寄せて、ポップでクールなアイコンを再現してみようと思う。

1982年京都市立芸術大学大学院修了。染めによる作品発表と同時にテキスタイル商品やパブリックアートも手がける。大原美術館工芸館、高島屋画廊X等で個展。東京国立近代美術館などにコレクション。現在、京都造形芸術大学教授 。

 

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